「タリア艦長、こちらが頼まれていました書類です。」

渡された分厚いファイルに立てられた付箋の部分を開きながら、艦長は驚きの声をあげた。

「こんなに短期間で・・・」

「今の戦況では情報収集が早いにこした事はありませんから。」

さも当たり前のように答える彼女に、タリアは柔らかな笑みを浮かべながら礼を言った。

「ありがとう。とても助かるわ。」

「いいえ、私の方こそ・・・ただの民間人である私をこうして艦に残して下さった艦長のご好意に感謝しています。」

「ただの民間人・・・ね。」

些か意味ありげな視線をに向けながら、ファイルを眺めるタリア。
そこへ一本の通信が入ったのに気づき、は頭を下げてその場を離れた。
部屋から彼女が姿を消した後も暫く通信を知らせるアラームが鳴り響く。
それに手を伸ばしながら、タリアがポツリと呟いた。

「さすが元ザフトレッド。クルーゼ隊唯一の女秘書・・・と言ったところかしら。」

けれどその言葉は、静かな部屋に響くだけで何も意味を成さなかった。




















小さくため息をついたの視線の先に、赤い軍服を着た人間が心配そうに立っていた。
それに気づいた彼女は、緊張をほぐすかのように頬を叩いてその人物の元へ駆け寄る。

「アスラン!」

重力を利用して腕の中に飛び込んできたの体をしっかり抱きとめる。

「大丈夫か?」

「え?何が?」

「いや、最近ずっとデスクワークについてるって聞いて・・・」

「昔よりは全然ラクだよ。」

くすくす笑いながらアスランの腕から抜け出ると、今度はその手を取って前を指差す。

「ね、お茶しよう!」

「食堂にでも行くつもりか?」

「ううん、部屋。美味しいお茶、この間レイがくれたの。」

「・・・レイが?」

「そう。彼にデータファイルのコピーを頼まれてね、そのお礼だって。」

「へぇ・・・」

「お茶菓子はヨウラン達が分けてくれたチョコがあるの。」

ニコニコ笑顔でアスランの手を引っ張るその手には、アスランが彼女に渡した婚約指輪が光っている。

「相変わらず、は馴染むのが早いな。」

「そんな事ないよ。皆・・・社交辞令でしょ?」

不思議そうに首を傾げるを見て、自然とアスランの頬が緩む。



いつ、どんな時でも、どんな場所であっても・・・彼女は変わらない。
この先、何があったとしても、自分がどんな道を選んだとしても・・・だけは自分の側にいる、という自信がアスランの中にあった。



「でも、あまり他の男から物を貰うというのは感心しないな。」

「?」

「その、に対して・・・下心がない、とも言えないだろう?」

「???」

「昔からはオレの大切な子だって言うのは変わらない。だけど最近どんどん綺麗になっていくを見てると・・・その・・・
不安になるよ。

頬を染めながらボソボソと話すアスランを見て、が満面の笑みを浮かべて抱きついた。

「アスラン好きっ!」
「うわぁっ!」

「アスランが一番好きっ!!」

「ちょ、!?」

「ア〜スラン♪」

「わかっ・・・分かったから、ちょっ、落ち着けって!!」

「え〜♪」

アスランが慌てての部屋のロックを外して、首にをまとわりつかせたまま中へ入る。
プシュッと扉が閉まる音が聞こえ、廊下に静寂が戻った。





君だけは、何処にいても、何をしても・・・変わらないでいて





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はいはぁ〜い、続いてます!超偽DESTINY(笑)
取り敢えずミネルバは人手不足?と言う事で、タリア艦長に借り出されて事務処理をしてるヒロイン(笑)
オーブでキサカの補佐をしていたと言う事で、事務処理能力が高いって言うのは伝わってるんでしょうね。
裏?過去情報調べれば有能な秘書経験もあるしね。
ついでにヒロイン、ミネルバでは皆の注目を浴びているみたいです。
実際のレイは議長至上主義ですが、超偽話内では・・・多少ヒロインにも気を持って貰う、つもり?
ヨウラン達は年上のお姉さんに憧れを持ってるって感じです。
ミネルバにいるアスランは口下手ですが、さすがに婚約者の前ではキチンと気持ちを表に出します(笑)
ま、出さなくても彼女とアスランの信頼関係は揺らぎませんけどね♪